大谷石は「栃木県の石」

県の石の選定

日本地質学会は、2016年、全国47都道府県について、「県の石」を選定しました。同学会は、地質学の発展や普及を目指して1893年に創立された歴史のある組織で、大学をはじめとする研究機関の研究者や学校の先生、学生、地質学を学んで社会に役立てる仕事をしている人、大学生、大学院生、地質学が好きで勉強している人など、約3800人が所属している学術団体です。これまで全国の各都道府県では、県の花、県の木、県の鳥などは選定されているものの、「県の石」は見当たりませんでした。日本は国土面積こそ小さいものの、複雑な地質構造を持つ世界でも特異な場所とされており、国内各地からは特色のある石が産出されています。同学会は各地の地域特有の石を選定することで、広く地質学に関心を持ってもらおうと、同事業に取り組むこととしました。
2018年に学会創立125周年を迎えるため、その記念事業に位置付けられました。一般から公募を行い、学会内に選定委員会を設置して、全国の地域の意見に学術的な重要性を考慮しながら、約2年間をかけて選定作業を行いました。諸外国にも例のない貴重な事業となったとしています。

栃木県内からは「栃木県の岩石」として、「大谷石(凝灰岩)」(主要産地:宇都宮市大谷町)が、また、「栃木県の鉱物」として「黄銅鉱」(主要産地:足尾銅山)が、さらに、「栃木県の化石」として「木の葉石(植物化石)」(主要産地:那須塩原市)が選出されました。

長い歴史の中で、暮らしに根付いてきた大谷石

県の岩石」となった大谷石は、日本列島の大部分が海の底にあった太古の時代に海底火山から噴出した火山灰や軽石が堆積し、長い年月をかけて岩石となったものです。硬く重い花崗岩などと比較して、軟質で加工がしやすい大谷石は、蔵や塀の素材として、また、土木用の石材として、古くから生活の中に溶け込んできました。

深い山から切り出されるのでなく、採石場が農村地帯の里山であったことも、大谷石が身近なものとなり、人々に親しまれる要素となりました。県の岩石に選ばれたのは、このように暮らしに深く根付いていたことが背景にあると思われます。

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